このサイトでは、武蔵野美術大学通信教育課程 デザイン情報学科デザイン総合コース/コミュニケーションデザインコースの授業で企画したオンラインセミナーイベントとイベントに登壇するゲストを紹介しています。

ゲストは、コミュニティデザインに携わる活動をしている卒業生です。学んだことを社会に還元していく卒業生の存在は大学の財産です。「アートとデザインには街や人を元気にする力がある」というキィワードの元、地域の資源を生かし地域社会に於けるアー トとデザインの活躍の場を生み出している活力ある事例に光を当てます。

ソーシャルデザインコミュニティデザイン。似たような局面で使われることの多い2つの言葉ですが、ソーシャルデザインは「社会的な課題を解決するデザイン」という定義に対し、コミュニティ=地域や人の集まりと定義することで、コミュニティデザインは「人と人をつなぐデザイン」と捉えることができます。

言い換えると、社会的な課題を解決するソーシャルデザインを進めるために、コミュニティデザインが必要になって来るのではないかと考えています。コミュニティには、一定の地域的な空間に居住する人たちのことを意味する「地域コミュニティ」と、目的を共有する同質的な人々の集まりを意味する「テーマ型コミュニティ」があります。

地域コミュニティでは、様々な立場の人が存在し、性別・年齢・趣味嗜好・職業・経歴・健康状況・障がいの有無、支持政党・宗教・文化・言語・国籍まで、多様な違いと立場があります。それらの差異が、無理解や無関心、孤立や対立・差別を助長してしまうことも起こりえます。

しかし一方では、異なることに対する寛容な態度、よりよい選択、創造的な刺激、革新的な発展などに繋がる可能性も秘めています。放っておいては出会うことがなく、交わる機会がないからこそ解決がむずしいなど、誰でもが想像がつくと思います。だからこそ、私たちの学ぶコミュニティデザインには、重要な役割があるのではないでしょうか。

誰かに頼まれなくても自ら行動すること、ひとりではできないことも想いを同じくする人が集まることで実現可能になること、そしてそれによって自分たちの足元をデザインし、新しい価値を生み出していく可能性を生むのではないかと考えます。このことが、ひいては社会そのものの形成デザインにつながっていくのかもしれません。

それぞれが有しているバックボーンを生かして、多様な場所で、様々な状況で、新たな一歩を踏み出して欲しい。地域社会をフィールドに、学生という立場でデザインを学ぶ貴重な機会にいい出会いを経験して欲しい。そのことによってデザインが地域で果たすことのできる役割と可能性に気づいて欲しいと考えています。

武蔵野美術大学通信教育課程
デザイン情報学科 デザイン総合コース
担当教授 上原幸子