小林義崇(こばやしよしたか)

1981年、福岡県北九州市で生まれる。大学卒業後、2004年に東京国税局に入局。2017年、フリーランスライターとして独立。2018年Y-MARK 合同会社を設立。

ーー国税局にお勤めだったとのことですが、なぜ国税局を辞め、フリーランスライターになったの ですか?

就職した時は、定年までそこに勤めるつもりでいたんですが、30歳近くなってくると、自分は本 当にこの仕事をやりたいのかなあ、定年までずっとやるのかなあ、と迷いが出てきたんですよ ね。僕の場合は、転職サイトに登録したり社会人向けのスクールに通ったり、資格の勉強をして みたんですが、なかなかピンとくるものがなくて。そんな時に出会ったのが、上阪徹さんの「職業、 ブックライター」という本だったんです。こういう執筆とか、フリーランスという生き方も含めて、自 分に合ってるんじゃないかなと思って、著者の上阪さんに連絡をしてみたんです。そうすると、上 阪さんの方でブックライターを育てるスクールを作ろうとしてるというお話をいただきまして、その 塾に通わせてもらったんです。

ライター塾を卒業してから、すぐにでもライターになってやろうと思っていたんですけど、すんな りはいきませんでした。結婚して子供もいるという状況もありますし。金銭面で、独立するっていう ところまでいけなかったんですけども、3年間でちょっとずつ物事が進み始めて、ようやく何とか独 立してやっていけるかなと思ったタイミングで、2017年7月に退職をしてライターとして開業をしま した。

ーー思い切ったご決断、尊敬します。そこから、小林さんはどのようにしてつなぐばと繋がったのでしょうか?

初めはライターなので自宅で全然仕事できるかなあ、と思って環境を整えたんですが、小学生の2人の息子がちょうど夏休みだったので、どうしても遊びに来ちゃって(笑)。なので、なかなか家で仕事をするのは難しい、となってたんです。
それで、カフェに行ったり、図書館に行ったり、いろいろ渡り歩いてたんですけど、やはり1つどこか落ち着いて仕事をしたいと思ってました。なので、コワーキングスペースがあればいいなと思って調べたんですけど、当時はなくて困っていたんですよね。
そんな時に、埼玉県の草加市で「そうかリノベーションまちづくり」というのをやっていて、空き不動産なんかを活用して地域の人が使える場所を作ろう、という取り組みがされていることを知りました。その計画の一つにつなぐばがあったんですね。つなぐばは地域の人が働けるシェアアトリエという形で書かれていたので、コワーキングとして使えるんじゃないかと思い、僕も参加させていただくことになりました。

ーー小林さんがつなぐばと繋がるまでの経緯を詳しく教えてください。

最初はコンタクトをとるためにメールしたんです。そうすると、松村さんから説明会に来ませんか、というお声かけをいただいて。参加してみると、最初はこれ失敗したなと正直思ったんです。というのも、参加者の中で男性は僕だけだったんですよ。周りは女性でママさん世代の方ばかりで、僕は普通のコワーキングスペースのつもりでいたもんですから、この説明会を聞いてなんか違う場所なのかもと思ったんですね。
その時に配られたチラシを見てみると、子連れで働けるシェアアトリエというコンセプトがあるということを知って、やはり普通のコワーキングじゃないんだなと思いました。ただ、他に仕事ができるスペースというのも見当たらなかったですし、これも何かの縁かなと思い、とりあえず最初は利用してみて合わなかったらやめればいいやという感覚だったと思います。

ーー小林さんはつなぐばの立ち上げから参加されていたということなんですよね。参加するにあたって、不安はありましたか?

つなぐばの中で馴染めるかという不安があったんですよ。利用者の中で僕だけが男性であとは女性でしたから。大丈夫かな、と思っていたんですけども、皆さんよくしていただいて。三男が生まれた時にお祝いをしてもらったり、仕事場としてだけではなくプライベートでのつなぐばとの関わりも増えてきました。今は仕事場であり、子供が遊べる場でもあるという、ありがたさも感じています。

ーーお仕事はいつもつなぐばでされているんですか?

今は、つなぐばよりも「さいかちどブンコ」で仕事をすることの方が多くて。2階がワークスペースになっているので、そこで仕事をしているんですけども、1階の方は開かれた図書館ですから、知り合いの方とかも時々来ますし。たまに、コーヒーを出されてる方が来たりとか焼き芋屋さんが来たりとかはあるので、仕事の合間に1階に降りてちょっとお話をしたりとか飲食をしたりとか。そういう風な感じで、仕事とプライベートが混ざったような過ごし方だとは思うんですけども、そういう日常生活になっています。

ーー小林さんがつなぐばを利用するときの一日のルーティンを教えてください。

最近は、執筆の仕事は午前中にやろうと決めているので、大体8時くらいに「さいかちどブンコ」に入るようにしているんですね。「さいかちどブンコ」ってオープン時間が決まっているというわけじゃなくて、僕も自由に鍵を開けられるので朝行って勝手に鍵を開けて8時から午前中いっぱいくらいはそこで仕事をしています。
それが終わったら、つなぐばのランチを食べに行って、そこにいる人とお話ししたり、午後はまた「さいかちどブンコ」に戻って執筆以外の細かい仕事を片付けたり、読書をしたり、動画を見たり、割と午後はのんびり過ごしています。
夕食はいつも家族全員で食べているので、夕食の時間に間に合うように帰っています。大体5時過ぎくらいになると、「さいかちどブンコ」を出て家に向かう。基本的に、仕事関係は平日にまとめてる感じです。

ーー1日のスケジュールを伺ってみて、改めて小林さんは自分の時間を確保するのが上手だな、と思いました。自分の時間を確保するために気をつけていることはありますか?

基本的には、公務員時代のくせというか、仕事するのは8時半から17時っていう感じなんですよね。そこは基本伸ばさないようにしていて。僕の周りのライターの方たちだと徹夜が時々あったりとか、あんまり仕事の時間決まってないとか、土日も仕事しているという人も多いんですけど。僕は平日の基本9時-17時で仕事としてやるべきことは片付けようというのをひとつ目標にしていて、だから平日の夜とか土日は家族との時間にできるんですよね。ずっとそうやってきたんですけど、去年ぐらいから平日一日中やってると集中が続かないので、午前中一気に片付けて、午後はわりと自由にすることで、YouTubeを始めるときの勉強をしたりだとか、次の活動に向けての時間に使えているのかなとは思いますね。

ーー最後に、小林さんにとってのつなぐばとは?

「自分にとってつなぐばは、思いもよらない人生の入り口」
つなぐばと関わるようになってから、人生が豊かになったことは間違いないですね。国税局にいた頃よりも生活は充実していますし、ここと関わることで自分が想像もしなかったようなことが次々と起きてくるので、これも社会のひとつのデザインのあり方というか面白い体験をさせてもらっているな、と思っています。

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