田代美代さん(たしろみよ)

地元で学童保育所を立ち上げる。「熊野の森もろおかスタイル」設立当初から活動に参加。地域活動にかかわる中で肥後さんに出会い、現在も活動の中心メンバー。

ーーご出身はどちらですか?

私の出身は山形なのですが、夫の仕事の都合で、横浜に引っ越してきました。

ーー田代さんは、「熊野の森もろおかスタイル」に設立当初から参加されていたとのことですが、どのような経緯で参加されることになったのでしょうか?

放課後、子供がおもいっきり遊べる場所「遊び塾」という名で学童クラブを立ち上げました。この地域の住民の方々は 子供たちの声を煩いとは思わずむしろ「びわや柿の実をとりにおいで」と優しく声をかけてくれる地域でした。しかし、私が定年になり あらためて地域を歩いてみると元気のない高齢者が目につきました。家族に先立たれて、寂しい思いをしている方や、認知症の奥さんを外に出さないようにしている方等 気になるかたがたくさんいました。私達高齢者もなんとか元気になることができないものか、気軽に外に出れば誰かと出会える場所があればいいなあと。コミュニティになる「場所」づくりをしたいと考えていた際に、古民家カフェを作りながら、発電所を作りたいという人がいると聞き、興味を持ったのが肥後さんご夫妻との出会いでした。持続可能、再生エネルギー、グリーンパワーや、エコシステムなど馴染みのない言葉には戸惑っていましたが、古民家カフェには興味があり、ワクワクして参加していました。結局、古民家カフェづくりは実現しなかったのですが、300坪の農園で野菜の栽培に取り組み、畑を耕したことで、興味を持つ人が集まるようになり、そこからコミュニティが生まれてきました。

ーーもろおかスタイルでの田代さんの役割を教えてください。

「小昼(コビル)」 を担当しています。小昼とは、朝食と昼食の間のちょっとした食事という意味で、東北では農作業の後に軽食を食べる習慣があり、それを小昼としています。朝、収穫した野菜をその場で料理して、参加者の方に食べていただきます。販売はしていないのですが、先日は、畑に生えているものでたっぷりのサラダを作りました。春菊、レタス、ルッコラの花、水菜、はこべ、バクチ、ニンジン、かぶ、カタバミなど何でも入れちゃいます。お茶作りもしています。また、ルバーブ、ルッコラ、パクチ、トマト、のらぼーな、などを栽培する自然農法も担当しています。
今年は、玉ねぎとにんじん、じゃがいもが大豊作でした。
玉ねぎとにんじんとにんじんの葉っぱのかき揚げを揚げた時は、次から次に飛ぶように売れて大人気でした。じゃがいもも、蒸して塩だけでも美味しいんです。畑でみんなで食べるとなぜだか本当においしい。不思議です。
玉ねぎの皮も、炊き込みご飯にするというアイデアがメンバーから出て実践しました。とにかく大胆な人が集まっていて、みんなの知恵でいろいろな食が生まれています。
私たちは、「食の大冒険」をしているんですよ!笑

ーー健志さんは「クリエイティブな食」とおっしゃっていましたが、田代さんにとっては「食の大冒険」なんですね!どのような野菜を使って、どんな料理をされているのでしょうか?

特に深刻には考えていません。全て畑と相談です。生えて来たものが教えてくれます。普段食べないものを出すときは楽しいです。
例えば、取れ立てのニンジンでニンジンドレッシング、ニンジンの葉っぱやお茶の葉っぱ、とても辛いハバネロの天婦羅等 おそるおそるたべている姿や大根の実を生で食べてもらった時のみんなの顔が変わるのが楽しいです。先日はとても暑かったので青紫蘇、きゅうり、みょうがが出始めたので郷土料理のひや汁にしたりして、喜ばれました。
私の役割は本当に食べて笑っているだけです。小昼担当は三人おり、一人は夫、もう一人は食べることと、作ることと食についておしゃべりすることが一番好きといっている方との三人がやっています。時々、手が空いている方にお手伝いをしてもらっています。

ーークリエイティブなハーブ作りをされているとお聞きいたしましたが、それについて教えてください。

ドクダミ茶や、スギナ茶、山ハッカヨモギなどの野草を摘んでお茶にしています。収穫したら、最初にきれいに洗って、干して、乾燥させ、乾煎りし保存しておきます。時々気分に合わせて調合もしてお茶として飲んでいるんですよ。
また、養蜂で採れたミツロウも2度濾してシートにしておきます。ハンドクリームやリップクリーム等の他にハッカ油やエッセンシャルオイルをいれた痒み止めのミツロウ軟膏はとても効きます。ミツロウラップも捨てずに残しておいてハギレでつくっています。

ーー肥後さんたちの魅力は何でしょうか?

人が集まる仕掛け作りがとても上手なこととアイデアがとても豊富なところです。イベントのチラシ一つとっても、何が始まるのかワクワクしてしまいます。幻燈会という名で、夕方から公園でカレーを食べながら映画をみたり、青空の畑の真ん中で落語会をやったり、近所の老若男女、子供たちまで引き寄せられどんどんいろいろなことが広がってきています。
防災や気候変動についても勉強会を開いていて、実際に参加してみて、意識の高い人もたくさんおり、自然とそちらにも関心をもつようになりました。

ーー活動を通してのご自身の変化はありますか?

自分のことではなく夫のことでもいいですか。
以前は、町内のことには関心のないひとで、銀行や買い物の他は家にいることが多かったのですが、あるきっかけでミソノガーデンにかかわるようになり、今ではガーデンでの活動日を、楽しみにしており、積極的に外出する機会が増えました。料理が好きということが買われたのか一緒に小昼を任されています。家でも、今度の小昼のメニューは何にしようかなど会話も増えています。
嬉しいことに、子供たちに畑のシェフと呼ばれご満悦のようです。
夫婦で参加できる場があることがなによりです。
年齢に関係なく、行く場所がある、期待されている、自分の役割があるということは、
とても大事なことだと思わされました。そして、そんな場所が近くにあることに大変感謝しています。

ーー最終的な目標はありますか?

いままで、あまり、考えていませんでしたが、みなさんからインタビューを受けて当時 思っていたことを思い出しました。縁側でお茶を飲むようなカフェをつくりたいです。
今は、広い畑がありますので
畑の片隅にテーブルと椅子をおき、通りすがりの人がふらっと休んでいけるような、畑カフェを夢見てしまいました。畑を見ながら何でもない会話ができ、畑で取れた野菜でつくったサンドイッチ、飲み物は養蜂場でとれたハチミツと無農薬のレモンでつくるレモネード、まず最初に出すのは熱々の野草茶、いろいろとやりたいことがつぎつぎに思い浮かんでしまいました。いつか、できることを信じ、元気に過ごしたいと思っています。地域で気になる人達も畑なら散歩がてらきて、みんなで元気な地域になればいいな、と思っています。